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学芸員コラムColumn

2018年11月13日その他【美術館小史・余話9】旧石川県美術館と博物館法

※本コラムは平成12年から平成16年にかけて、当館館長・嶋崎丞が「石川県立美術館だより」において連載したものの再録です。

旧石川県美術館 (現石川県立伝統産業工芸館)

 昭和34年10月に開館した旧石川県美術館は、第 二次世界大戦後に県立として鉄筋コンクリート造りの本格的美術館としては、最も早い時期に建設されたものの一つである。
 戦後の未だ経済的に豊かでない時代 に、県財政をなげうっての建設であっただけに、当時の田谷知事の思い入れは深く、そこで美術館の所管は、知事部局の企画県民課に置くこととなった。
 美術館を利用する一般の人々にとっては、博物館法という法律の存在は、ほとんど無関係であるが、美術館や博物館を設置する者にとっては、この法律の規制を受けるので、その存在は非常に重要なことであった。
 博物館は、戦後日本で新しく生まれた社会教育の一つの機関として位置付けられ、特に地方公共団体が設置する博物館は、教育委員会の所管に属しなければなら ないことが、博物館法の第18条に明記されている。
 従って新設された美術館が、知事部局の所管であると いうことで、正式な「登録博物館」として指定されず、 「博物館に相当する施設」ということになった。
 「登録博物館」と「相当する施設」との本質的な違いはどこにあるかということになると、表面上の活動においては何ら変わるところがほとんどないが、学校教育や社会教育が、政治的介入を防止する上で、戦後、教育委員会が設置されてその所管となったと同様に、社会教育機関としての博物館に対しても、そうした配慮がな されたのであろう。
 登録博物館に指定されなかったこ とは、石川県や私共職員にとっては、いささかショッ クであった。
 (嶋崎丞当館館長、「石川県立美術館だより」第208号、平成13年4月1日発行)

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