今月の美術館だより
 第231号 平成15年1月1日発行
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●常設展示室(前田育徳会展示室)

特 集 茶道具と名物裂

1月4日(土)〜2月2日(日)

 「茶を飲む」という喫茶の風習は中国(前漢)に始まり、平安時代初期には、既に日本へ伝来していました。鎌倉時代、公家・武家・寺社の間で広く行なわれるようになり、室町時代の終わり頃になると、その風習は町衆にまで広がります。特に京都・奈良・堺において盛んとなったそれは、村田珠光(むらたじゅこう)に始まるわびを理念とした「茶の湯」であり、用いられる茶碗・茶入・茶釜などの茶道具、書画・花を含めた茶室の空間が、生活芸術として捉えられるようになりました。戦国時代になると時の権力者であった織田信長・豊臣秀吉が「茶の湯」に執心するようになり、名器とされた茶道具を収集し始めます。秀吉が黄金の茶室を設け、北野大茶湯を催したことからもわかるように、大名の趣向は次第にわびから離れた贅沢で派手なものとなっていきました。江戸時代に入るとその主導が町衆から大名に移行したことにより、その傾向が更に顕著となるのです。

 加賀藩の茶道は、藩祖利家の時代に始まり、以降、歴代藩主へその嗜好は受け継がれ、茶道具も多く揃えられました。本特集では、前田家の家紋である梅を配した「玳皮盞(たいひさん)天目茶碗(梅花天目)」、孫六の銘を持つ「古瀬戸茶入」など茶道具20点と名物裂(めいぶつぎれ)19点を紹介します。

 名物裂とは、舶載された外来裂のうち、特に茶人や好事家に選ばれ「名物」として珍重された裂(きれ)をいいます。そのほとんどは中国の宋元明代のもので、書画の表装や茶道具の仕覆、能装束に用いられました。茶と能を好んだ前田家では、外来裂の収集に励む一方、その元には他の大名家からも珍しい裂が届けられました。

 鳳凰の丸文を織り出した「双鳳丸文様金襴」は、この裂で作った能装束で足利義政が能曲「二人静(ふたりしずか)」を舞ったとされることから、「二人静」の銘を持ちます。名物裂の中でも室町時代中頃までに伝来した「古渡り」です。前田家に伝存する名物裂は、質量ともに優れたコレクションとしてよく知られています。

育徳会展示室展示作品へ






 


●常設展示室(第2展示室)

特 集 新春優品展 −茶道美術を中心に−

1月4日(土)〜2月2日(日)


 
新しい年が明けました。日本人にとって、元日には特別な意味がありました。それは、去年が今年になったというだけではなく、すべてが新たに一から始まるという神聖な日であり、特別な日と考えられていました。しかし現代人は高度情報化社会のなかで日々の時間に追われていて、新年を迎えるという「節目」の感覚が非常に希薄になってきています。それ故、この「節目」に先人が培った日本文化を再考する機縁とすべきではないでしょうか。

 今回は、晩年の小堀遠州が迎春にあたって書かれた書状や、近衛龍山の「歳旦和歌」、本阿弥光悦の「和歌扇面画賛」、さらには「和漢朗詠集 山嵯峨切)」、「古今和歌集巻第六断簡白砂切)」などの作品から、自然観のなかに迎春の特別な想いや日本美を詠んだ作者の心に触れていただきたいと思います。

 また初釜の季節ですが、当館の茶道美術は、山川コレクションがその核を成しています。このコレクションは、金沢の素封家山川家が三代にわたって収集伝世したものです。言うまでもなく野々村仁清の「国宝色絵雉香炉」は初代甚兵衛の収集ですが、このコレクションの特色は、香合の質の高さとその種類の豊富さにあります。

  「和蘭陀白雁香合」(県文)は、オランダのデルフト窯で作られ、江戸時代初頭にわが国に舶載しました。その優雅で愛らしい趣が好まれ、茶人が香合に見立てたもので、古来より名高い名品です。また、仁清の「色絵花笠香合」は、仁清の技の冴えを示す薄作りのシャープな器体に、青、赤、緑の彩色と金彩を駆使した艶美ともいえる華やかな作品です。そのほか「交趾鹿香合」、「交趾金花鳥香合」、「宋胡録柿香合」、「黄瀬戸根太香合」や、茶入、茶碗など約50点を展示し、茶道という日本文化の精神性を示す美の一端に、新たなる年の始まりを感じていただければ幸いです。

第2展示室展示作品へ





伊羅保片身替茶碗

伊羅保片身替茶碗

 

色絵花笠香合

色絵花笠香合 野々村仁清



◆常設展 観覧料

  一般 大学生 高校生以下
個人
350円
280円
無料
団体
280円
220円
無料
団体(20 名以上)
 
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