今月の美術館だより
 第286号 平成19年8月1日発行
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●コレクション展示室 (前田育徳会尊經閣文庫展示室)

前田家の名宝

 前期:6月28日(木)〜7月17日(火)
 
後期:7月21日(土)〜9月2日(日

 前回に引き続き開催する「前田家の名宝」の後期展示について紹介いたします。本展は当館のリニューアル工事前の最後の展示となりますので、ぜひお楽しみいただきたいと思います。久方ぶりに公開する歌合や御宸翰を主に、初公開を含む絵画、金工、漆芸、染織をあわせて展示し、加賀藩主の知的好奇心が育んだ豊かな文化を再認識いただいていますが、後半は国宝三点、重要文化財七点を含む三十五件の作品を、保存管理上二期に分けて展示いたします。
  国宝 三朝宸翰三朝とは伏見、後醍醐、花園の三代天皇を指し、第一巻には花園天皇(1297?1348)の消息十二通を、第二巻には後醍醐天皇(1288?1339)の消息十通と伏見天皇(1265?1317)の消息二通を貼り継いだものです。各宸翰の末尾に青蓮院門跡尊円入道親王(1298?1356・伏見天皇の皇子、花園天皇の弟)の極めが、巻末には近衛前久(竜山・1436?1612)の識語があ
り、この消息は青蓮院門跡に賜ったものと推測されています。宸翰がこれだけまとまっており、その堂々とした筆跡とともに歴史資料としても貴重な作品です。五代綱紀の箱書があり、綱紀の時代に入手されたものと考えられています。
  国宝 入道右大臣集(彩牋) 右大臣藤原頼宗(道長の第二子・993?1065)の歌集で百九首が収められています。頼宗晩年の自撰集と考えられており、本書はその書写本です。頼宗は堀河右大臣といわれ、治暦元年(1065)正月五日に出家したため、「入道右大臣」とも称されました。料紙は三十一紙で、唐紙・?牋・斐紙の色紙など華麗な料紙が用いられており、王朝人の高い美意識が窺われます。筆者は源俊頼(1055?1129)といわれ、流麗な草仮名で書かれていますが、第六、七の二紙は藤原定家(1162?1241)の補写と考えられています。頼宗の私家集として唯一の存在といわれています。
※国宝・重要文化財の展示替一覧は前号をご覧下さい。

 



 

 

6月28日(木)〜7月17日(火)
  国宝 歌合(十巻本) 巻第一
  国宝 十五番歌合(彩牋)
  重文 本朝麗藻巻上(初公開)

  
7月21日(土)〜8月10日(金)
 国宝 歌合(十巻本) 巻第三
 国宝 三朝宸翰 第一巻        
 国宝 入道右大臣集(彩牋)
 重文 彩牋墨書道済集 残巻  
 重文 神宮神宝図巻 上巻
 重文 四季山水図屏風 伝周文
 重文 アエネアス物語図毛綴壁掛  


8月11日(土)〜9月2日(日)
 国宝 歌合(十巻本)  巻第十
 国宝 三朝宸翰 第二巻
 重文 白楽天続古詩断簡(綾地切)  
 重文 白楽天常楽里閑居詩(初公開)
 重文 神宮神宝図巻 下巻
 重文 四季花鳥図屏風 伝雪舟
 重文 アエネアス物語図毛綴壁掛


●コレクション展示室 (第2展示室)

加賀の美術工芸

 前期:6月28日(木)〜7月17日(火)
 
後期:7月21日(土)〜9月2日(日

 前回に引き続き、九月二日(日)まで開催中の「加賀の美術工芸」では、本館が所蔵する古美術作品の中から優品を紹介しています。七月二十一日(土)からは、特に秋の草花を題材とした絵画や漆工作品を紹介します。
  菊や萩・桔梗・女郎花・芒などの秋草は、絵画や漆工作品の題材としてよく用いられました。夏が過ぎ、風も涼しい秋の夜長にゆらめく秋草。空には月。こうした情景が、人間の寂しさや悲しさを投影するものとして、歌に詠まれたり、美術作品の題材になったりしたのです。
  俵屋宗達の弟とも弟子とも言われる俵屋宗雪は、法橋の位も得た絵師ですが、その作品はほとんど伝えられていません。数少ない遺品が石川県指定文化財の『群鶴図屏風』と『萩に兎図屏風』(八月十一日より展示)で、いずれも秋草が描かれています。どちらにも金地になだらかな土坡が描かれ、鶴の群の合間から笹・松・萩が、あるいは、二羽の兎のかたわらに萩が描かれています。兎は月、そして萩とよく組み合わせいられる動物で、二羽の兎のうち左側の一羽は、月(描かれていませんが)を仰ぎ見ているのでしょう。
  鹿も萩と組み合わせて描かれる動物です。尾形光琳の『鹿に萩図硯箱』(八月十日まで展示)は、生い茂る萩の間からのぞく鹿が蒔絵で表現されています。
  秋草の題材を最も得意としたのは、五十嵐道甫をはじめとする加賀蒔絵の漆工です。螺鈿・切金・付描などの技法によって、秋草などの写実的な表現に、意匠化されたモチーフを交えながら表しています。石川県指定文化財の伝五十嵐道甫作『蒔絵螺鈿秋月野景図硯箱』(八月十一日より展示)は、桔梗に螺鈿、菊に金銀貝具を用いるなどした作品で、その多彩な装飾法と、絵画的な奥行きある構図で加賀蒔絵の中でも優品とされるものです。
  本特集ではその他、近年新たに収蔵されることになった石川県指定文化財の『蒔絵住吉図硯箱』(八月十日まで展示)や金沢市指定文化財の『高山右近書状』も紹介します。なお、後期は会期中、一部展示替えを行いますので、ご注意ください。

 

 第2展展示作品


 

◎後奈良天皇女房奉書

荻に兎図屏風(部分)  俵屋 宗雪

 

◆コレクション展 観覧料

  一般 大学生 高校生以下
個人
350円
280円
無料
団体
280円
220円
無料
団体(20 名以上)

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