今月の美術館だより

第297 平成20年7月1日発行

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◆法隆寺の名宝と聖徳太子の文化財展◆


C黒漆螺鈿卓 国宝 平安時代(12世紀中頃)

 香炉、華瓶、燭台などの供養具を載せるための前机で、聖霊院(しょううりょういん)の外陣で使われていたものです。総体を黒漆塗りとし、 長方形入角(いりすみ)の天板の下に前後二間、左右 一間の肘木形の格狭間(こうざま)を透かしています。また天板の四角、框(かまち)の四角と束(つか)の上下には魚々子地(ななこじ)に宝相華唐草文(ほうそうげからくさ)を彫っ た金銅八双金具が打たれています。
  先端がくるりと返る優美な曲線から なる四本の脚をつけており、その脚の姿から鷺脚卓(さぎあししょく)と呼ばれています。高さは九五センチ余りで、現存する鷺足卓 の中では大形のものです。また、天板や框の側面、脚の外面には螺鈿で宝相華唐草(ほうそうげからくさ)と蝶文を表しています。
  細く長い鷺脚や、すっきりとした格狭間、螺鈿の意匠などは、天治三年(一一二六)頃の制作とみられている岩手県中尊寺大長寿院所蔵の中尊寺経蔵堂内具の一つで、経文・法具などをのせる机である国宝「螺鈿平塵案」(らでん らでんへいじんあん)と共通する部分が多いとされています。また大治六年(一一三一)に寄進された春日大社の国宝「若宮御料古神宝類」にみられる螺鈿文に類似していることから、 この卓もほぼ同年代の制作と推察され ています。聖霊院で用いられていたこともあり、保安二年(一一二一)の聖霊院創建時につくられたものではない かとする説もあります。
  優美な形姿、繊細な螺鈿や金具の文様など平安時代後期の作風をよく示しており、大形であるにもかかわらず、 調和のとれた高雅で優雅な作品です。

 

 

 

黒漆螺鈿卓




 
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