タイトル:かねは雄弁に語りき-石川県立美術館の金属コレクション-

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概要

かねは雄弁に語りき-石川県立美術館の金属コレクション-の作品解説電子ブックです。

21ふじ藤しま嶋なぎなた薙刀とも友しげ重銘藤嶋友重Halberd, signatured of "Fujishima Tomoshige"江戸17世紀かたはなぎなた柄が長く、身の片方に刃のつく偏刃の武器を薙刀という。接近戦やりに効果的で、平安末期から槍が台頭する鎌倉末期までに最も使用なぎなたづくりされた。本作は元の幅よりも先の幅が張って反る薙刀造である。二代・三代兼若を髣髴とさせ、元と先で趣向の異なる刃文も見どころ。藤嶋(島)とは越前北部を流れる九頭竜川左岸一帯の地名であり、藤嶋派はこの地に興ったとされる。1409(応永16)年の年紀銘のある作品から、室町時代には移住したとされ、加賀に定着したずいりゅうじ最古の流派とみられる。本作は、1654(承応3)年の瑞龍寺奉納刀にも名がある六代友重の作か。(AS)22ふじ藤やり槍しま嶋とも友しげ重りょうしのぎづくり両鎬造銘加州住藤嶋友重Spear, signatured of "Fujishima Tomoshige"江戸17世紀もろは槍とは長い柄に差し込む形式の武器で、身の両側に刃のつく諸刃であることが多い。室町中期以降、大いに流行し、桃山時代まで合戦に重用された。加賀藩祖・前田利家のように、槍によって武功をあげた者も数多い。江戸時代になると武家の表道具として所有者の格式を示すものとなった。すやりりょうしのぎ本作は直線的な諸刃をもった直槍で、断面がひし形をなす両鎬づくり造である。刃文は緩やかに角のついた波のような箱乱れで、整った姿や地鉄(焼きが入らず黒く見える部分)の出来も見どころとなっている。(AS)15