タイトル:かねは雄弁に語りき-石川県立美術館の金属コレクション-

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かねは雄弁に語りき-石川県立美術館の金属コレクション- の43ページ目の概要です。

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概要

かねは雄弁に語りき-石川県立美術館の金属コレクション-の作品解説電子ブックです。

第3章金属という表現金属工芸・造形においては、ブロンズや鉄、ステンレスなど、様々な金属が素材として選択され、表現の一部となっている。本章では、ふだんは〔金工〕〔彫刻〕に分類され別々に展示されている作品を「金属による造形」という視点で同時に紹介する。金属とともに創造活動を行う作家たちは、研究の末、その特性を発揮する素材や技法を選び取り、ときには分野を横断しながら作品として結実させる。蓮田修吾郎は、鋳金をはじめ建築、デザインなども広く学び、工芸の概念を拡げるような活動を行った。アクリルなどを利用した混合素材による独特なレリーフ状の作品は、建築と接点をもつ造形活動を反映したものだろう。宮﨑豊治は、加賀藩の御用釜師も務めた宮崎寒雉の家に生まれた。幼少期から釜の素材である鉄に親しみ、やがて鉄を中心とした制作を行うに至った。木戸修は、自作のコンピュータプログラムをら駆使して洗練された螺せん旋構造を生み出す。表現の幅や耐久性を追求して素材をアルミニウムからステンレスに変えていく時期の作品を紹介する。溶接方法に着目した重田照雄の作品は、素材と戯れるように生み出された遊び心のある造形が特徴的である。このように本章では、金属の性質を活かし、金属のイメージを刷新し、金属の魅力を探り続ける作家たちの成果を紹介する。金属ならではの豊かな色彩、質感、表現を、存分に感じていただきたい。43