タイトル:かねは雄弁に語りき-石川県立美術館の金属コレクション-

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概要

かねは雄弁に語りき-石川県立美術館の金属コレクション-の作品解説電子ブックです。

82みや宮しん身ざき﨑とよ豊はる治ぺんるい辺モデル―類じ似か化―Model for personal circumstances -Equivalence-1985(昭和60)年鉄、漆着色個展幾何学的な鉄の形態に、枝分かれした木の幹をやきつけの逆さにしたようなイメージを設置する。漆焼付表面処理により、木肌のような表面とつやをもった独特のテクスチャーを実現している。宮﨑は1970年代から「身辺モデル」シリーズを開始するが、それは自身の身体の長さや視線の動きを作品に組み込むことで、見る者に作家の眼と身体を追体験させようとする装置としての作品であった。宮﨑は、釜師・十三代宮﨑寒雉の次男として金沢に生まれ、木、鉄、銅、真鍮などによる作品を発表した。鉄と漆焼付は、いずれも釜の制作で用いられる。宮﨑がこの素材技法を用いるに至ったとき、それらが自分の中に染み込んだ血のように自身と切っても切り離せないものであることを否応なしに感じさせられたという。(YT)85しま島や屋すみ純はる晴だいUNITY-8大ち地くうから空UNITY 8 From the ground to the space1984(昭和59)年鉄、ステンレス第23回北陸中日美術展大賞かん間へ北陸中日美術展に初出品で大賞(最高賞)を受けた作品。鉄素材による接地部分を支えとして、宙天に向かって伸びるステンレスの四角柱を組み合わせる。島屋のいう硬軟2つの素材、つまり赤さびた鉄素材と銀色に輝くステンレスのコントラストと明快なフォルムが、モダンな空間を実現している。島屋は、金属、ガラス、石などを組み合わせ、フォルムと質感を重視した彫刻作品を制作するとともに、鋳造という行為と過程を意識した鋳金作品も手がけている。公共空間への作品設置も多く、現代建築の在り方も視野に入れたその活動は、彫刻と工芸の垣根を超え、金属の魅力と可能性を拡張し続けている。(YT)52