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特別陳列 きらめく美 北陸ゆかりの截金作家たち 2020年11月19日(木) ― 2020年12月20日(日)
概要

6か月順延しての開催です。平安時代から鎌倉時代の仏教美術の装飾に用いられた「截金(きりかね)」技法を、表現の主体とする北陸ゆかりの三作家、西出大三(1913~1995)と、高瀬孝信(1931~2001)、山本茜(1977~ )を紹介します。
截金とは金などの箔をごく細かい方形や、髪の毛よりも細い線に切り、膠(にかわ)や布海苔(ふのり)で貼り付けて、光り輝く繊細な文様を構成する技法です。仏教美術における截金は、貴族社会の終焉とともに衰退し、京都の本願寺系仏画師の間に技法が継承されました。
截金の人間国宝3名はいずれも故人で、齋田梅亭(1900~1980)と江里佐代子(1945~2007)は、仏教美術の截金師でもあります。対して西出大三だけが、木彫と古美術の修復を学ぶ中で截金に出会い、独学で技術を研究・習得した、いわば「門外漢」から道を究めた作家です。
齋田の高弟・高瀬の作品は、師譲りの端正な截金装飾に樹脂をコーティングし、上からさらに截金を施すという、独自の工夫がなされています。摩擦に極めて弱い截金を、長く遺すために考え抜かれた技法です。
江里に師事した山本は、截金の脆弱さの克服に加え、西出と同様に截金を施す土台も制作したいという思いから、ガラスの中に截金を封じ込める作品を創案しました。
截金という技法に魅せられ、技術を究めた三作家による、唯一無二の作品世界を感じ取っていただければ幸いです。
開催日時
2020年11月19日(木) ― 2020年12月20日(日)
9:30 ― 18:00(入場は17:30まで)
会期中無休
会場
第5展示室
観覧料
観覧料 | 一般 | 大学生 | 高校生以下 | 65歳以上 |
---|---|---|---|---|
個人 | 370円 | 290円 | 無料 | 290円 |
団体 | 290円 | 230円 | 無料 | 290円 |
※団体は20名以上。65歳以上の方は団体料金でご覧になれます。
県立美術館友の会会員、また身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳を持参の方とその介添えの方は無料です。
作品紹介
- 山本茜《虹をかける》
- 山本茜《虹をかける》やまもとあかね にじをかける
- 高瀬孝信《截金飾箱 花の城閣》 砺波市美術館蔵
- 高瀬孝信《截金飾箱 花の城閣》 砺波市美術館蔵たかせたかのぶ きりかねかざりばこはなのじょうかく
- 西出大三《截金彩色合子 花守犬》 石川県立美術館蔵
- 西出大三《截金彩色合子 花守犬》 石川県立美術館蔵にしでだいぞう きりかねさいしきごうすはなもりいぬ
- 山本茜《一葉舟》
- 山本茜《一葉舟》やまもとあかね ひとはぶね
- 高瀬孝信《截金砂子秋草文飾唐櫃》 砺波市美術館蔵
- 高瀬孝信《截金砂子秋草文飾唐櫃》 砺波市美術館蔵たかせたかのぶ きりかねすなごあきくさもんかざりからびつ
- 西出大三《截金彩色油色 花の合子》 石川県立美術館蔵
- 西出大三《截金彩色油色 花の合子》 石川県立美術館蔵にしでだいぞう きりかねさいしきゆしょくはなのごうす
- 山本茜《深淵を覗く》 Ⓒ鍋島徳恭
- 山本茜《深淵を覗く》 Ⓒ鍋島徳恭やまもとあかね しんえんをのぞく
- 高瀬孝信《截金竹丸流水花文四方盆》 砺波市美術館蔵
- 高瀬孝信《截金竹丸流水花文四方盆》 砺波市美術館蔵たかせたかのぶ きりかねたけまるりゅうすいかもんよほうぼん
- 西出大三《截金彩色飾盆 浮舟》 石川県立美術館蔵
- 西出大三《截金彩色飾盆 浮舟》 石川県立美術館蔵にしでだいぞう きりかねさいしきかざりぼんうきふね
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作家紹介
山本茜(1977~ )やまもとあかね
金沢市生まれ。京都市立芸術大学で日本画を学び、重要無形文化財「截金」保持者の江里佐代子に師事。卒業後、富山ガラス造形研究所でガラス成形を習得し、截金ガラス作品を創案。日本伝統工芸展でNHK会長賞を受賞。日本工芸会正会員。
高瀬孝信(1931~2001)たかせたかのぶ
大阪府堺市に生まれ、富山県で育つ。京都の截金仏画師で、後の重要無形文化財「截金」保持者の齋田梅亭に内弟子として師事する。独立後は、日本伝統工芸展等で活躍。同展で日本工芸会総裁賞、高松宮記念賞を受賞。鑑査委員も務めた。
西出大三(1913~1995)にしでだいぞう
加賀市生まれ。古美術修復を通じて截金の研究を重ねる。1955年、国の記録作成等の措置を講ずべき無形文化財として、截金の技術記録を提出。精緻な截金を施した木彫彩色作品が高く評価され、1985年に重要無形文化財「截金」保持者に認定。