重要

国宝《色絵雉香炉》の展示について

展覧会

コレクション展:古美術

琳派と五十嵐派

 琳派は、17世紀初頭に刀剣の鑑定などを家業とする本阿弥光悦が中心となって京都で推進した造形運動を端緒として、後水尾天皇が主導した寛永文化で活躍した俵屋宗達によって表現様式が確立され、光悦、宗達に私淑した尾形光琳によってデザインとしても広く愛好されるようになりました。また、加賀藩3代藩主・前田利常は宗達の後継者、宗雪に重要な仕事を発注し、宗雪とその後継者、喜多川相説は金沢を拠点として作画にあたったと考えられています。さらに、草花を題材とした光琳作品の構図や描写には、相説からの明白な影響が認められます。相説の喜多川姓は宗達とも関係が深いとみられることから、宗達が遺した画稿類が宗雪をへて相説に相続され、相説によって光琳に示されたと推測することもできます。
 そして利常は、寛永年間(1624〜1644)に京都で足利将軍家に仕えた蒔絵の名門、五十嵐家の3世道甫を招き、加賀藩細工所の工人たちの指導に当たらせ、加賀蒔絵の基礎を確立しました。漆工の技術は、武具・甲冑の制作や修復で重要な位置を占めることから、加賀藩主・前田家は武具制作の高い技術を基盤として、芸術的な洗練度を追求した独自の様式の確立を支援しました。
 このように、琳派と五十嵐派は加賀藩の文化政策に深く関わっていますが、光悦と五十嵐家、そして光琳の家系は、いずれも熱心な法華宗徒であると同時に、緩やかな血縁関係にあることも注目されます。さらに加賀における両派の興隆が、文化財保存修復思想の醸成と同時期である点も興味深いところです。

作品リスト

基本情報

会期

2024年1月4日(木)~ 2024年2月12日(月)

開館時間 9:30~18:00(展示室への入室は17:30まで)
休館日 会期中無休
観覧料

一般:370円(290円)、大学生・65歳以上:290円(290円)、高校生以下:無料

  • 高校生以下無料。( )内は20名以上の団体料金。県立美術館友の会会員、65歳以上の方は一般 団体料金。
  • 身体障がい者・精神障がい者保健福祉・療育手帳をお持ちの方、またはミライロIDをご提示の方および付き添いの方1名は観覧無料

各種割引・優待

会場 第2展示室