展覧会
前田利為のコレクション
前田利為によって、今日の前田育徳会にあたる「公益法人 育徳財団」が設立されて、令和8年(2026)で100年を迎えます。前田家16代当主利為(としなり)は、旧七日市藩12代利昭の五男として明治18年(1885)に生まれ、明治33年(1900)に前田家15代利嗣(としつぐ)の養子となり、利嗣逝去ののち、家督を嗣ぎました。
利嗣の娘渼子(なみこ)と結婚した利為の最初の責務は、利嗣の遺志でもある明治天皇の行幸を仰ぐべく、本郷邸を新築することでした。当時、旧大名家はこぞって西洋式の邸宅を新築して天皇を迎えており、華族にとって家格を示す重大事業だったのです。本郷邸の新築は、日露戦争によって一時中断しますが、西洋館は明治40年(1907)12月に、日本館はその2年前に竣工しました。
西洋館は、列柱とアーチをもつ広いバルコニーを備えた玄関で、豪華なルネサンス風の建物でした。利為は、竣工したあとも西洋館は使用せず、行幸決定の内示を受けて、西洋館の装飾を始めます。タイミングよく、パリで美術商として活躍した故林忠正のコレクションの一部を明治42年(1909)に入手します。
本特集で紹介する《中古市街ノ風俗ノ図》(ジャン・デュモン)、《牧場図》(ヴィオレ=ル=デュック)、《森林群犬図》(フェデリコ・ロッサーノ)は、この時購入したものです。本特集ではその他、行幸の様子を描いた下村観山による《臨幸画巻》のほか、昭和2年(1927)の4度目の渡欧にて入手したルノワール《アネモネ》を紹介します。

基本情報
会期 |
2023年7月29日(土)~ 2023年9月11日(月) |
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開館時間 | 9:30~18:00(展示室への入室は17:30まで) |
休館日 | 会期中無休 |
観覧料 |
一般:370円(290円)、大学生・65歳以上:290円(290円)、高校生以下:無料
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会場 | 前田育徳会尊經閣文庫分館 |