展覧会
実資が記した『小右記』と源氏物語の世界
昨年の大河ドラマを覚えていますか?そう、「光る君へ」です。『源氏物語』の作者とされる「まひろ」こと紫式部が、「源氏物語」を書き記すに至った藤原道長を中心とする平安の貴族社会を描いたドラマでした。今回の特集展示では、ドラマにも登場した藤原実資(さねすけ)による『小右記(しょうゆうき)』を紹介します。実資は、道長の権力が大きくなっても、媚びることなく公平な立場を貫き、やがて右大臣となった人物です。『小右記』には、当時の政務や朝廷儀式の様子が記録されています。
特に、寛仁2年10月16日、道長の三女威子が後一条天皇の皇后になったことを祝う宴が行われ、道真が「この世をば 我が世とぞ思ふ望月の 欠けたる事も 無しと思へば」と詠んだのは、よく知られています。道真の歌に対し、実資は「御歌、優美なり」と答えたように、実資は道長のよき理解者でした。実は、道長は歌を詠む前に実資を呼び「歌を詠むつもりだから、必ずそれに合わせるように」と伝えていました。実資は「どうして反しましょうか」と答えたところ、「自らを誇った歌である」と道長は言ったといいます。『小右記』には、こうしたやりとりが記されています。
前田育徳会が所蔵する『小右記』は、数少ない写本の中でももっとも古く、平安から鎌倉時代に書写されたものです。京都の公家・三条西家にあった『小右記』を、元禄年間に五代藩主綱紀が補修・整理するために預かり、その後前田家で保管するに至りました。
基本情報
会期 |
2025年8月23日(土)~ 2025年10月5日(日) |
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開館時間 | 9:30~18:00(展示室への入室は17:30まで) |
休館日 | 会期中無休 |
観覧料 |
一般:370円(290円)、大学生・65歳以上:290円(290円)、高校生以下:無料
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会場 | 前田育徳会尊經閣文庫分館 |