展覧会
コレクション展:古美術
歌、ものがたり
「やまとうたは、人の心を種としてよろづの言の葉とぞなれりける」
よく知られた紀貫之による『古今和歌集』「仮名序」の冒頭です。やまとうた、すなわち和歌は、漢詩に対して日本の歌をさし、四季折々の自然と人々の想いを三十一文字に凝縮して表現するものです。
優れた和歌は時代を超えて愛されます。『万葉集』や『古今和歌集』といったアンソロジーが編まれ、著名な歌人は「歌仙」と呼ばれて、その絵姿が作られるようになりました。また左右に分かれて歌の優劣を競う「歌合」が行われ、和歌は貴族文化の根幹をなすものとして詠み継がれていきました。
蓄積されていった和歌の言葉は、特定のイメージを伴った「名所」や「歌枕」を生み出しました。「吉野山」や「和歌の浦」、「住吉」が例として挙げられますが、実際の場所を訪れたことがなくても、それらを詠み込んだ数多くの和歌によってイメージが形作られ、そのイメージは絵画や工芸にも取り込まれていきます。
また物語の世界も和歌と深い関係にあります。『源氏物語』においても、要所に和歌が詠み込まれ、登場人物の気持ちを代弁し、また物語を動かす重要な役目をも果たします。こうした物語に基づく美術工芸作品は、それまでに詠まれ、紡がれてきた「歌」と「ものがたり」のイメージ世界を共有しているということができるでしょう。

基本情報
会期 |
2025年8月23日(土)~ 2025年10月5日(日) |
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開館時間 | 9:30~18:00(展示室への入室は17:30まで) |
休館日 | 会期中無休 |
観覧料 |
一般:370円(290円)、大学生・65歳以上:290円(290円)、高校生以下:無料
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会場 | 第2展示室 |