展覧会
香りにまつわる道具
前田育徳会が所蔵する作品のなかから、香道具・香合など、香りを楽しむために用いられた道具の数々を紹介します。
香りに関する古い記録は、『日本書紀』の推古天皇の時代の記述にみることができます。流れ着いた香木を薪とともに燃やしたところ、香りが遠くまで漂ったため、珍しいものとして献上されたという記録です。香木は仏教儀式との関わりもあり、正倉院や法隆寺にも納められています。
江戸時代になると、大名の婚礼調度に香道具が含まれるようになります。特に香の組み合わせを聞き分ける組香(くみこう)用の道具をまとめた十種香箱は、その代表です。例えば《村梨子地唐松唐草御紋蒔絵十種香箱》には、盆略手前に用いる香盆、香を聞くために用いる聞香炉(ききこうろ)、香木や銀葉(ぎんよう)を入れる重香合、香札を入れる札筒、香札を納める札箱と硯、銀葉盤、火筋・灰押・羽箒・銀葉挟・香匙などを入れる香筋建、折据(おりすえ)が納められています。
一方、香りを聞くことに、遊技的要素を加えたのが、盤立物(ばんたてもの)です。江戸時代中期にかけて流行しました。手に鷹を据えた十人の鷹匠と鶴・雉・鴨・鶯・鳩などが向き合い、それぞれを進めて競う鷹狩香。官女を従えた玄宗と楊貴妃が向き合い、玄宗側が持つ梅枝、楊貴妃側が持つ桜枝を取り合う花軍香のほか、闘鶏香・源平香などがあります。
本特集では、あわせて《堆朱柿図香盆》《青貝梅図香盆》など、中国の明時代につくられた香盆も紹介します。
基本情報
会期 |
2025年10月10日(金)~ 2025年11月9日(日) |
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開館時間 | 9:30~18:00(展示室への入室は17:30まで) |
休館日 | 会期中無休 |
観覧料 |
一般:370円(290円)、大学生・65歳以上:290円(290円)、高校生以下:無料
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会場 | 前田育徳会尊經閣文庫分館 |