展覧会
書の美
日本では中国から漢字がもたらされ、平安時代には日本独自の仮名が生み出されました。漢字や仮名である文字は、表現や伝達という実用的な役割とともに、各時代の文化や思想を背景にしながら、多くの人によって美的側面が育まれ、洗練されていきました。やがて、書いた人の趣や個性を示す書風の展開や個人の美意識を表現したものに変化するなど、その芸術性も高められていきました。このように、記録としての文字に芸術的意思を働かせて、生命を与えたものが書なのです。
現代では墨と筆で書く毛筆は日常の用途から離れ、文字は情報伝達の記号へと役割を変えつつあります。今日、書の作品を前にした時、何が書いてあるか読めない、また、読むことができても内容が十分に理解できないなど、鑑賞が「むずかしい」と感じている方もいらっしゃるかと思います。しかし、人は無意識に自らの美意識のもとに文字を書き、また、自分の持つ美意識で他の人の字も見て、文字のたたずまいに惹きつけられているといえます。
文字は意思を伝えており、書かれた内容や表現された文字の形から、強さ、やさしさ、勢いなど多くのメッセージを見る人に与えます。そこから私たちの心の中に生まれる共感や癒しなどの感情は、自分と向き合う時間を生む機会にもなることでしょう。
今回の展示で、長い歴史と書く人の個性に裏打ちされた書が持つ価値の豊かさに触れていただき、書の美を見つける機会になることを願っています。
基本情報
| 会期 |
2025年12月27日(土)~ 2026年2月2日(月) |
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| 開館時間 | 9:30~18:00(展示室への入室は17:30まで) |
| 休館日 | 12月29日(月)~1月3日(土) |
| 観覧料 |
一般:370円(290円)、大学生・65歳以上:290円(290円)、高校生以下:無料
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| 会場 | 第6展示室 |